使用材料の特性

熱可塑性樹脂 / ポリ塩化ビニル(PVC)

最も重要な汎用プラスチック材の1つ。弊社で取り扱いが一番の材料です。用途により、荷物たわみ温度95℃で常時80℃に充分耐え得る耐熱塩化ビニルが耐熱性・耐食性を要求する分野に使われる。また種々のポリマーブレンドとして開発された耐衝撃ビニル板が用途を拡大している。さらには静電気発生を極めて抑えた静電プレート、金属化合物の溶出がほぼないメタルフリープレート、比重が0.75の低発砲塩ビプレートなども存在する。

主な性質
長所
  • 結晶性が極めて低いので透明度が良い。
  • 自己消化性である。
  • 酸・アルカリに極めて強い。
  • 溶接が容易。
  • 汎用性が高い為、各種補材やグレード・色が存在し加工性が非常に良い。
短所
  • 板やパイプなど成形する際に、安定剤を配合しなければならない。
主な用途
  • バランスのとれた機械的性質を利用して・・・板、フィルム、パイプ、継手、建材
  • 耐薬品性を利用して・・・化学工業用タンクのライニング、防食塗料
  • その他・・・各種電気機械部品、工業材料、接着剤
  • 特殊プレートを使用して・・・・超純水用装置・半導体、液晶製造装置など

ポリプロピレン(PP)

ポリプロピレンは高密度ポリエチレンと良く似た熱可塑性樹脂であり、最近では欠点の低温衝撃性を補ぎなわれたグレードも市販されている。

主な性質
長所
  • 汎用性プラスチックの中ではもっとも比重が小さく、水に浮く。
  • 耐熱性に優れている。
  • 高周波での誘電特性が良い。
  • 酸、アルカリに強い。
  • くり返し曲げに強い。(ヒンジ効果)
短所
  • 脆化温度が高い為、低温衝撃強度が小さい。
  • 可燃性で耐侯性も悪い。
  • 熱膨張率が大きい。
主な用途
  • 耐薬品性と耐熱性を利用して・・・・パイプ、ダクト、バルブなどの化学工業用部品、各種貯蔵槽、装置のライニング
  • 優れた耐熱性と成形性を利用して・・・電気製品、弱電関係、自動車部品

ポリエチレン(PE)(超高分子量ポリエチレン(UHMM-PE))

乳白色のワックスのような感じのプラスチックであり、ポリ塩化ビニルとともに熱可塑性樹脂の双璧です。ポリエチレンの製法は高圧・中圧・低圧の重合方法があり、高圧法により低密度ポリエチレンが、中・低圧法によって高密度ポリエチレンが得られる。ここでは主に高密度ポリエチレンの超高分子量ポリエチレンについて示す。

主な性質
長所
  • プラスチックの中ではポリプロピレンに次いで軽い(比重0.91-0.96)
  • 酸・アルカリに強い
  • 吸水率が低い
  • 耐摩耗性が優れている
  • 耐衝撃性が優れている
  • 機械的強度が一般ポリエチレンの2~3倍
短所
  • 非接着性
  • 溶接がしにくい
  • 透明度が悪い
  • 柔らかく傷がつき易い
主な用途
  • 剛性と耐衝撃性を利用して・・・・ボトル・コンテナあんどの大型射出成型品
  • 衝撃性とクリープ特性を生かして・・・パイプ類
  • すぐれた電気特性を生かして・・・・電線皮覆・ケーブル
  • 成形性のよさを生かして・・・ダイレクトブロー成形品

ポリメチルメタアクリレート(PMMA・アクリル)

通称名アクリルとして知られ、製造形態は樹脂ペレットと板状の材料があり、最近では耐衝撃グレードも市販されている。

主な性質
長所
  • 光学特性が優れている(透明性など)
  • 耐侯性が良好
  • キズがつきにくい
  • 耐アーク性、耐トラッキング性が優秀
短所
  • 割れやすい
  • 燃え易い
  • 一部の有機溶剤でクラック発生
主な用途
  • 優れた光学特性と透明度・耐アーク性などを利用し・・・看板、照明用ルーバー、ディス  プレイなど一般雑貨用途、水槽、レンズ、計器カバーなど工業用途。風防硝子、医療関 係部品など

ポリエチレンテレフタレート(PET)

ポリエチレンテレフタレート通称ペットは、飽和ポリエステル樹脂の一種でテレフタル酸ジメチルとエチレングリコールの縮合反応で得られる。最近では非強化とガラス繊維等を充填した強化されたものが生産されている。

主な性質
長所
  • 優れ摺動特性(滑性)
  • 機械的強度、電気特性に優れている
  • 耐薬品性が安定している
  • 透明性、食品衛生性が優れている
短所
  • 割れ易い
  • 耐熱性が低い
主な用途
  • 様々な長所を利用して・・・繊維、飲料ボトル、食品用、化粧品用、薬品用などの容器など

ポリカーボネート(PC)

ポリカーボネートは、構造単位中に炭酸エステル型構造を有する高分子物質の総称であり、1956年ドイツのバイエル社から発表された樹脂です。工業的製法にはホスゲン法とエステル交換法の2つがあり、前者はかなり高分子量のものまで得られ透明度が良く、後者は高分子量は期待できないが分子量分布の良いものが得られるという特徴をもっている。

主な性質
長所
  • 耐衝撃性が非常に優れている
  • 衝撃度と引張強度のバランスが優れている(金属に近い)
  • クリープ特性に優れている
  • 使用温度範囲が極めて広い
  • 透明性に優れている
  • 絶縁抵抗が良い、耐電圧性
  • 吸水率が低く、寸法安定性が良い
  • 熱・光にも安定
短所
  • 成形の際に樹脂の乾燥を必要とし、怠ると特性が低下する
  • 金型温度が適正でない時は、成形品にクラックが発生し易い
  • アルカリ・有機溶剤に侵され易い
主な用途
  • 多くの優れた特徴を利用して・・・・電気、電子機器、機械部品
  • 耐侯性と耐衝撃性を利用して・・・・横断歩道の信号、庭園灯
  • 耐熱性、耐衝撃性を利用して・・・・医療器具
  • 透明性と耐衝撃性を利用して・・・・板ガラスの代用

ポリ弗化ビニリデン(PVDF)

ポリ弗化ビニリデンはフッ素樹脂としては比較的新しいポリマーで従来のフッ素樹脂に比べて加工性がよく機械的強度も向上させた工業材料です。

主な性質
長所
  • 他のフッ素樹脂にない加工性を有している。(特に溶接が容易)
  • 機械的強度が従来のフッ素樹脂よりはるかに優れている。
  • 耐薬品性が非常に優れている
短所
  • 塩基性の強いアミン類、極性の大きいケトン、エステル、環状エーテル、アミド類の耐薬が悪い
  • 非常に高価
主な用途
  • フッ素樹脂の持つ非常に高い耐薬品性と加工性を利用し・・・劇薬やその他のプラスチックではもたない薬品のタンク・パイプ・継手など用途は多岐にわたる。

ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)

ポリエーテルエーテルケトンは英国ICI社の開発によるもので、優れた耐食性(濃硫酸のみ溶解する)、耐溶剤性を持ち備えた樹脂です。

主な性質
長所
  • 耐熱性が優れている(連続使用温度240℃)
  • 耐薬品性、耐熱水性が優れている
  • 耐放射線性が良い(1000Mradまで絶縁性を保持)
  • 難燃性である
短所
  • 非常に高価
主な用途
  • 電線被覆(油田用信号ケーブル・原子力発電ケーブル)、コネクター(航空機用、原子力用)自動車部品(ピストンカート、ベアリングゲージ)